小学6年生と賢治を語る 2021 [宮沢賢治の事]
2021年も未だコロナ禍ですが、今年も小学校に宮沢賢治と岩手を紹介しに出かけることができました。
2021年9月9日 重陽の節句の日。芦屋市立山手小学校へ。実は私の母校です。2019年から2年ぶり4回目の訪問です。
6年生の国語5.6時間目に「宮沢賢治とイーハトーブと旅しよう」というタイトルで宮沢賢治さんのこと、賢治のふるさと岩手・花巻のこと、教科書の「やまなし」と「イーハトーブの夢」のことなどをおはなししました。
コロナ禍です。先生と事前に打ち合わせをして、今回は放送室から遠隔で約120人の児童の皆さんと授業です。
これまでは直接見たり触ってもらっていた複製本や資料なども今回はみんな写真で伝えます(おかげで私はパワーポイントでの資料作りができるようになりましたよ・笑)。
私が小学生だった時の放送室とは違う~そりゃそうか。
当時は雨の日の朝礼の時間に、小さなブラウン管の画面に校長先生が白黒で映っていたのに。
教室の児童の皆さんとは大きな画面で。
自宅から受講の児童の皆さんとは3台のタブレットでつながっています。タブレットに「こんにちわー」と声をかけると「こんにちわー」と元気な声が返ってきました。
近未来的な風景・・・に『春と修羅』ほか複製版と教科書を置いて写真撮ってみました。
暗闇でぽつんと画面に向かってしゃべっているのが私です。でも画面を通して約120名の児童のみなさんとつながっています。
今年、少し力を入れておはなししたのはふたつ。
ひとつめは「やまなし」に登場する「やまなし」と「蟹の兄弟」のこと。
「実際にやまなしやカニを見たことのある人」どれくらいいるかな?
関西だからかもしれませんが、「やまなし」知らない人が多いです。「やまなし」は今、旬を迎えている豊水梨などの大きな梨とは違うし、「カニ」は、冬にお鍋でいただくあのカニとは違うんだよーということ。
それで私が岩手で見た沢蟹や、やまなしの木や実の写真を見てもらいながら、
その「大きさ」を紹介しました。どちらもほんの3センチほどの「小ささ」。それぞれの大きさがわかると、
ね、あらためて「やまなし」ってどれだけ小さな世界で、大きくて広いことが語られている物語なのかが気づくでしょう。
もうひとつは「芦屋と、岩手と、賢治さん」
4つの話題を。
〇賢治さんが盛岡高等農林学校の学生だった時、寮で同室だった人が以前芦屋に住んでいたこと(会いたかったです)。
〇賢治さんと面識はないけれど、芦屋で暮らしていた詩人・富田砕花さんは盛岡出身。兵庫県内の小中高の校歌を多数作詞されていて、芦屋の小学校2校の校歌の作詞をしています。
・ウィキペディアでの富田さんの解説はこちら→★
・富田砕花旧居のHPはこちら(芦屋市HP)
くわしくはこちら以前の投稿記事を
「宮沢賢治と三木露風が交流!?」
→https://bonjour-hon.blog.ss-blog.jp/2021-08-23
〇大正時代が舞台の「鬼滅の刃」と賢治さんの生きた時代が重なること。
「宮沢賢治と三木露風が交流!?」
→https://bonjour-hon.blog.ss-blog.jp/2021-08-23
〇大正時代が舞台の「鬼滅の刃」と賢治さんの生きた時代が重なること。
詳しくは以前の投稿記事を
「小学6年生と賢治を語る2020」
→https://bonjour-hon.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
→https://bonjour-hon.blog.ss-blog.jp/2020-10-29
そしてあのアニメの舞台から芦屋の建築物へつながるおはなし。
賢治さんも歩いていたであろう浅草にあった凌雲閣から、
話題を帝国ホテルの設計者へ。
凌雲閣と帝国ホテル(旧館)の開業はともに明治23(1890)年。
しかし凌雲閣は大正12年9月1日の関東大震災で倒壊。
帝国ホテルは、ライト館の落成披露宴が関東大震災の当日でした。建物はあの大地震にびくともしなかったといいます(ライト館は現在、一部が愛知県犬山市の明治村に移築され、保存されています)
そんな帝国ホテルのライト館と同じ設計者で、竣工が大正13年なのが山手小学校の近くにある「ヨドコウ迎賓館」です。あの建物はあの浅草の時代から芦屋にあるんですよ。
ヨドコウ迎賓館HP
→https://www.yodoko-geihinkan.jp/
→https://www.yodoko-geihinkan.jp/
・・・賢治さんが『注文の多い料理店』『春と修羅』を出版した翌年にあったいろんなこと。
調べていくと、その時代とそこで生きた人たちの様子が身近になってくる。
そしていつも私たちの日常にある建物や風景にもそんな歴史が重なって見えてきます。
自分の周りのちょっと気になることを、もう少しだけよく調べると面白いよ、というおはなしでした。
コロナ禍という特別な時間の中で、児童の皆さんの「学ぶ」「学ぼう」とする姿勢と、先生方の「学ぶ機会は失わせない」という前向きな思いと実行力が伝わってくる今回の授業でした。
こうしてお話しする機会をもらえたことは本当にありがたく、大変貴重な経験になりました。
宮沢賢治作品をはじめ、ことばの世界のおもしろさや東北・岩手にふれるきっかけになっていたらうれしいです。
芦屋市立山手小学校6年生担任のS先生、Y先生、S先生 そして校長先生
ありがとうございました。
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